「価値観」はこうして育つ – 波乗りの話 –

「価値観」はこうして育つ - 波乗りの話 -

私の価値観や人生観に大きく影響を及ぼしている「海」「サーフィン=波乗り」について書きます。

18歳から始めた波乗りは、それ以降長い間、私の人生の中心にありました。

目次

山スポーツ一辺倒から、海スポーツとの出会い


高校卒業まで雪国の田舎町で過ごした私にとって、海スポーツはずっと憧れでした。

スキーやスノーボードなど、雪山スポーツももちろん楽しかったです。
でも、小学校から高校まで冬の体育の授業がノルディックスキー一択で、強制でした。
さらに山は地形が大きく変わることはありません。何度か滑ると地形がわかってしまいます。

スピードや回転などで新しいことをやる工夫はして、楽しみながらも夢中にはなれませんでした。

海のスポーツ。
水で遊ぶスポーツ。
雪山ではなく海水の上を滑るスポーツ。

一体どうやって水の上で遊ぶんだろう。
高校生になったら、憧れと未知のスポーツへのワクワクと妄想が止まりませんでした。

必死に勉強してなんとか東京の大学に進学し、入学式の日に早速海スポーツサークルに入りました。
ここから私の波乗り人生が始まりました。

思うように海にはいけない日々

大学時代は当然車も持っていません。
先輩が海に行く時に乗せてもらい、練習をするだけ。月に1回か2回いければいいほうでした。
もっと練習したい、もっと自由に海に行きたい。
でも当時海から遠い埼玉に住んでいた私は、先輩を頼るしかありませんでした。

もちろん練習不足で全く上達せず。
波乗りって本当に難しいんです。

海では同じ波は2度ときません。
なので同じ動作を繰り返しても波に乗れるようにはなりません。
ヘタクソな状態が長く続きました。

大学卒業後、最初の就職先で通勤に車が必要だったこともあり、念願の車をようやく入手。

これで自由に海にいける・・・!

・・と思っていたのですが、人生はそう甘くはありませんでした。

就職先は今でいうところの超絶ブラックな環境。
家には寝に帰るだけのような生活。
波乗りをしに海へ行く気力もなく、サーフボードやボディボードは埃をかぶったまま。
まるで部屋のインテリアと化していました。

波乗り中心の日々と、突然の終わり

その後転職して週末休める仕事になってから、ようやく私の波乗り人生は本格的にスタートしました。
28歳のことでした。

サーファーの友達も増え、海に行く機会が激増。
毎週末海に通い練習三昧。

仕事で稼いだお金はほとんど全部波乗りのために使っていました。
車やボードやウェットスーツは使用頻度が高いため、結構な頻度で買い換えました。
高速道路代やガソリン代もそこそこかかります。
人生の中心には波乗りがありました。

海に行きやすいように、千葉に引越しをしたのは30歳くらいの頃。
通勤の不便さよりも海への行きやすさを選んだ結果です。
この頃になると、週末だけではなく、平日の朝に早起きして通勤前に海に行く生活になっていました。
ハワイやバリ、宮崎などにもよく行きました。

この頃から仕事も忙しくなっていきましたが、海に行くことでさまざまなストレスから解放されていました。
海で心身が解放され、ゆるみ、また仕事に打ち込むことができる。

冷静と情熱。
陰と陽。
月の満ち欠け。
平坦な凪のような人生ではなく、起伏が激しく自然の大きなうねりの中に生きるような。

今思っても、自分の大切なものを大切にすることのできていた、本当に充実していた時期でした。

そんな幸せすぎる生活が15年ほど続いたある日のこと。

海からの帰り道、突然全身がやけどのような症状になりました。
車で病院に直行したところ、ウェットスーツに含まれるラテックス(ゴムを柔軟にする成分)に対して激しいアレルギー反応が出ていました。
洋服もまともに着れないような症状がおさまるまで、2週間以上かかりました。

アナフィラキシーに近い非常に強いアレルギー反応のため、もうウェットスーツは着ない方がいいということになり、私の波乗り人生は突然強制終了することになりました。

もちろんショックではありましたが、そのショックは不思議と長くは続きませんでした。
茫然自失の数日を過ごした後、ボードなどの 波乗り道具をすべて友人たちに譲りました。
千葉に住む理由もなくなり、車も処分して、なぜだか清々しい気持ちで東京に引越ししました。

自分のやりたいことを好きなようにやり尽くした爽快感、達成感とともに、

もう十分楽しんだよね。

と素直に思えたのです。

執着せずに、自然の流れで手放すことができたのも、私が海から多くのことを学び受け取っていたおかげだと思っています。

価値観は育つもの

長く人生の中心にあった波乗り。

ある程度波に乗れるようになったときの楽しさは言うまでもありません。
でも実は波に乗るよりもずっと、波に揺られて波が来るのを待つ時間を愛していました。

ボードに座って水平線を眺め、乗れる波が来るのを待つ。
うねりに身を任せて海水と一体になる。
自然と一体になり、高い空を見上げてただ息をしている時間。

このために、私は海に通っていたのです。

どんなに辛いことがあっても、海にいってボードと一緒に海に入ることで、すべてを洗い流し生まれ変わることができました。
悩みがあっても、自然に包まれていればその悩みはとても些細なことに思え、気持ちを切り替えることができました。
何かを失った時も、その喪失はその時に必要なプロセスで、まるで水のようにあちこち循環して、本当に必要になるタイミングに戻って来る。
そんなことにも海の中で気づくことができました。

ワクワクで自然と目が覚めることを知りました。
朝陽を浴びると心身健康になれることを知りました。
天候によって自然のバランスが変わることを知り、天気図を読めるようになりました。
天候が心身の健康にも影響することも知りました。
季節の移り変わりの美しさを海の中から全身で感じることで、循環というものを体感することができました。

海中から見上げる太陽のキラキラ感
うねりが巻き上げる海底の砂が舞う様子
飛び跳ねる魚の美しさ
自然のうねりにゆったりと揺られながら、水平線のかなたに思いを馳せるあの時間

こうして思い出しているだけでしみじみ涙が出て来るくらい、私の中にはしっかりとあの大切な時間が刻み込まれています。

あの海での時間は、私が人生において本当に大切にしたいもの、私の価値観を育てました。
人に関わる仕事をし続けるための私の力の源=リソースになっていると、確信しています。

私の話の中で「自然」「水」「循環」という言葉がでてくるのは、こうしたことが背景にあります。

「価値観」が何なのかわからない。
もしもそう感じる人がいるなら、見つけるお手伝いをしたいです。

あなたのなかにも、これまでの人生の体験から育っている、大切な宝物があるはず。

これからの人生にも携えていきたい。
それを想うだけで胸がきゅっとなる、心に火が灯る。
苦しい時の支えになる。

それがあなたの、あなただけの「価値観」なんですよ。

ここまで読んで、「もしかしたら、私が大切なのはあれかな?」となんとなく思いついた人がおられたら、とても嬉しいです。

小川恵子 コーチング ブログ 「価値観」はこうして育つ - 波乗りの話 -

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